詐欺師の恋

その癖、彼女は詐欺師の俺は嫌いだと言う。


今度は蹴ったし。


暴力女め。




確かに俺の中に、櫻田花音に対する何かがあるのはわかる。



だけど、それに俺はまだ名前を付けていない。



何もはっきりとはわかっていない。




ただ。




俺の中の『好き』とか『愛している』ことの証明は、ずっと『偽』とセットになっていた。




他に、示し方を知らない。


なのに。



無意識に、親子にカメラを向けていたなんて。





―人はっ…、愛されたいって思う生き物なんですっ!!





必死の形相で叫んだ、彼女の顔が浮かぶ。





愛せなくても、愛されたいと願うのは当たり前のことだと。






実際、わかんないんだ。




あの時、それを少しでも受け入れてしまった理由が。



本当に愛されたいと願っているのか。




苦手な夜明けの時間のせいなのか。



それとも、この家に一人で帰るのが嫌だったせいなのか。




だとしたら、俺は櫻田花音を利用しているわけで。




今までと何ら変わらない、彼女の嫌いな、ただの詐欺師だ。




どうせ、愛してなんかやれないのに。



網に引っかかった鳥を出来心で拾って、どう接すればいいのか、持て余している。



傷が、癒えたなら。



いずれは。



空に返して上げなきゃな。