詐欺師の恋


それでも、力を振り絞り、私は小さく首を振った。




「駄目だよ…私は、、藤代くんをそんな風に見たこと、ない。応えられない。」





下ろしていた手で、藤代くんの胸を押すけど。




「!」





逆に藤代くんの片手で、両手首を掴まれてしまった。






「放し…「中堀、、、さんって…」」






藤代くんは、私から目を逸らしてくれない。







「自分から、櫻田の兄だって言ってなかった?」






「!!!」





なんで。




社内で、中堀さんが直接兄だと言ったのは、多分二人だけの筈なのに。





どうして、藤代くんが知ってるんだろう。






「櫻田はどうしてあの人と知り合ったの?」





息って、どうやって吸うんだっけ。



どうやって吐くんだっけ。





「ふ、、藤代くんには…関係、ない…」





「櫻田。」





駄目だ。



目の動きが、私の動揺を大いに物語っている。



藤代くんと、目を合わせていられない。






「い、いいのっ。放っておいて!」





ありったけの力を籠めて、私は藤代くんを振り払った。



さっきはびくともしなかったのに、この時動いたのは、藤代くんが力を緩めていたせいだろう。




だけど。



そんなの、考えてる余裕は私にはなかった。