「…だって…私のこと、、嫌ってた…挨拶もしてくれなかったし…」
私が言うと、藤代くんが、ふ、と短く息を吐いた。
「好きな女が良い様に他の男に振り回されてるのを聞いたら、いてもたってもいられなくなるから。無関心でいるしか平常心を保てなかった。」
「!」
「笑えるだろ。俺、そんなキャラじゃないし。これでも何度も諦めようとしたんだ。なのに同じ課になるしな。」
自分自身に心底呆れているというような物言いだった。
「残酷だなって思ったよ。だけど、逆にチャンスかもしれないとも思った。」
「で、でも!私今好きな人が…」
「知ってるよ。」
そこで初めて、藤代くんは私と距離を空けて、視線を交わらせる。
「知ってる。今までだって、ずっとそうだった。」
二度同じ言葉を繰り返し、私を見つめる藤代くんの目は切なさを帯びていた。
「だけどもう、櫻田が傷付いてくの、近くで見てるの限界。偶然が俺に橋渡ししてくれんのを待ってても、無理だから。強引にでも、奪いに行くことに決めたんだ。」
縫い留められたように、藤代くんから目を逸らすことが出来ない。


