詐欺師の恋

外へ出れば、温まった身体もあっという間に冷めてしまう。




北風が強くなってきたな、と思った。



真っ直ぐ前を向けないまま、やや風を避けるようにして歩く。





「花音さぁ、もうなんか…同情するよ。」




祖母の納得する結婚相手を連れて行かなきゃならない話を聞いた憲子は、驚きを通り越して、明らかに哀れんでいた。




「私も自分に同情してるよ。」




半ば投げやりな気持ちで言った。



乾いてひやりとした空気が、口の中に入る。





「でもさ、中堀さんと良い雰囲気なんだし、もしかすると、もしかするかもよ?」




並んで歩いている憲子も、かじかむ両手にほぉっと息を当てた。






「うーん…でも、、、中堀さんとは、焦りたくないっていうか…。もっとじっくり時間を過ごしたいから。。。」





「甘っちょろい!甘っちょろいわよ、花音。そんなこと言ってたらお見合いされちゃうわよ?!」





白い息が、空気を濁らせる。





「わかってるんだけど、ね。まぁ、半年あるし、まだ計画を練る時間はありそう。」





季節が、夏に変わろうとしている時期に、私と中堀さんはどんな関係になっているだろう。




そこらへんは、未知数だ。