詐欺師の恋

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「…あれ」




バスルームから濡れた髪をタオルで拭きながらリビングに行くと、ソファの上で、猫の様に身体を丸めている櫻田花音の姿があった。




「おい」




声を掛けるがピクリとも反応しない。



規則正しく聞こえる寝息に、肩をゆすって起こそうかと思ったが。





「…さすがに可哀想か…」





考え直して、その首と膝下に腕をそっと入れる。




―きっと身体はクタクタなんだろう。




階段を上り、ベットのある部屋まで運びながら思う。





夜中から一睡もせずに俺のことを探して、仕事行って、これじゃあな。





自分がやったこととは言え、溜め息が漏れる。





ほんと。馬鹿だよな。




馬鹿で、お人好しだ。