詐欺師の恋

「母さん、帰ってきたのか?」



とぼけた質問を父がするもんだから、少し苛々しながら頷いた。




「ただいま」



ちょうどそこへ、トタトタと母が登場。




「あなた、とにかくテーブルの方へ座って。信も、花音も。」





一体これから何が始まるというのだろう。



若干ドキドキしながら、言われたとおりに席に座った。




「こたつがいいな…」




父がぽつりと溢した言葉を、その場に居る全員が聞き取った筈だが、私も兄も反応せず、母だけ冷たく笑んだ。





そこへ―




「ただいまー!あー、疲れた…ったく、なんなのよー!?」





我らが長女、花穂が到着の雄たけびを上げる。







「…揃ったわね。。」





うふふと、楽しそうに微笑む母を見て、私は誰かを思い出す。


誰だっけ。


えーと。



あぁ、そうだ。



私を騙すことに成功した時の。



悪戯っぽく笑う、中堀さんに、似ている。