詐欺師の恋

居間に荷物を運び終えると、奥の和室から神妙な面持ちをした兄が出てきた。



「あれ?今までそこに居たの?」




訊ねるが、兄は心ここにあらずの状態。




「信兄(しんにぃ)?」




「あ、ああ。花音か…」




再度呼びかければ、今気付いたというような反応。




兄に続いて、父も和室から顔を出した。





「あれ、お父さんも。二人して、何話してたの?」




「いや、うん。ちょっと、な。ま、あれだ。あとは花穂(かほ)が帰ってきてからにしよう。」




父も怪しい位にしらばっくれているけれど。




これは。



父と母がグルになって、何か企んでいるな。



失敗した。



母が帰ってくる前に、にやにやタイムなんかしてないで、父に探りを入れておくべきだったか。



母と違って、父のガードは甘い。



でも、探りを入れたらしい兄の様子を見ると、簡単な問題ではないようだ。




兄はちゃらけた性格をしているので、大体のことは笑い飛ばす。




そんな兄でも。



少なくとも、聞いた直後は、暫く放心状態になる程の事らしい。