詐欺師の恋


「おかえりー…だけど、ただいまぁ」



雑煮を取り合えず置いて、玄関に出迎えると、母が荷物を置いて一息吐いた所だった。




「あ、花音、良かった。帰ってたのね。」



母は満足そうに頷いて、荷物を運ぶのを手伝えと指示する。




「いつも2日には帰ってたじゃない。なんで元旦に電話掛けてきたのよ。私だって色々あるんだからねっ」




文句を言いながら、紙袋に手を掛けると、意外と重い。


しかも三つある。



一体何が入っているんだろう。



軽く覗くと、薄い冊子のような物がぎっしりと詰まっている。




「ちゃーんと、理由がありますっ。もうすぐお姉ちゃんも帰ってくるし、皆揃ったら話すから。」




母は涼しい顔で、疲れた疲れたと騒ぎ、洗面所へと向かう。





「…なんか、恐いな…」




あの顔は、母が何かを企んでいる時の顔だ。



その上、何か面白がっている。




母が面白いということは、大抵私にとって面白くないことだ。





「あーあ、早く帰りたい…」




小さく一人言ちて、溜め息を吐いた。