~♪
まさかの、笑点ソング。
閉じかけた、私の目はくわっと見開かれる。
プラス、恥ずかしさで震えが走った。
目の前の中堀さんの、手の甲で口元を隠している姿が、私の痛さ加減を物語っている。
ああ。
この、着信音は―。
実家だ。
どうして、もっとマシな着信音にしなかったんだろう。
なんでこんなフザけた音楽にしちゃったんだろう。
これがムーンリバーとか…いや、そんな贅沢は言わない。
せめて、マナーモードだったなら!!!
あの雰囲気をぶち壊しにする事などなかっただろう。
最悪…
とうに、だらりと垂れた腕で、私はよろよろと鞄から携帯を取り出した。
フザけた着信音を憎しみを込めて止めてから、耳に当てた。
『…はい』
《あー!花音!?年明けたわね!!!帰ってきなさい!》
久しぶりの、母の底抜けに明るい声が、鼓膜を直撃する。
『いや、今年は―』
《いいから!!うだうだ言わないでさっさと帰ってくる!今年は皆揃うから!今すぐ新幹線乗りなさい!》
『え、ちょっとま…』
なんで。
私の周りには、一方的に通話を切る人ばかりなんだろう。
愕然としながら、私は携帯を見つめる。


