詐欺師の恋

「あの、、お先に、どうぞ…」




私はコソコソと後に続いてリビングに入る。




そんな私をちらっと見て、中堀さんは少し考えるような仕草をする。



やがて。




「じゃ―先に入ろうかな。」




そう呟き、リビングを出て行こうとした。




変な緊張が私に走る。





「あ、良かったら、あそこに幾つかある荷物出しておきましょうか?」




何かやってないと落ち着かなさそうなので、私は隅に寄せてある箱を指差して提案してみた。





「あぁ…それは、いい」





なのに、中堀さんはチラッと箱に目をやると、そっけなく手を振る。






そして、背を向けて―




「遺品だから」





呟くように言うと、部屋を出て行った。





残された私は、開きかけた口をそのままに、後ろ姿を見送って。





「だから…」




彼のマンションからは予想できない荷物の量の意味を、悟った。