詐欺師の恋








年が明ける。


ライブも、そろそろ終盤に差し掛かる。


それは、つまり。


夜が明ける時間を指していた。






中堀さんの、嫌いな、夜明け。



皆と一緒なら、平気なんだろうか。




観客を魅了し続けた中堀さん。




途中でカウントダウンに因んだイベントが挟まれたものの、ほとんど休みなしだ。病み上がりなのに大丈夫なんだろうか。





そんな私の心配を余所に、最後の曲が、終わる―。




盛大な拍手は鳴り止まない。




結局私は会場の隅っこに移動していて、壁に背中を預けながら、手を叩いた。





ステージから降りれば、中堀さんが直ぐに取り囲まれてしまうことを知っている。




きっと、私なんか相手にしてもらえない。




仕方ない。



会場が静かになるまで、屋上とやらに上らせてもらおう。




そう思い、背中を向ける前にもう一度だけ、中堀さんの方へ目をやった。





「―え?」




割れんばかりの喝采が、一瞬で聞こえなくなった。



それは恐らく、私だけ。




だって。




会場の人ごみが、両端に寄って道を作っている。




そこから来るのは…




「な、かぼりさん!?!?!」




今しがたライブを終えたばかりの、金髪の彼。


驚き過ぎて、拍手どころじゃない。