詐欺師の恋

「わかってるよ、メリッサに、花音ちゃん迎えに行って来る様に言われたんだから。」




ケイは上手に目配せしてみせると、くるりと身を翻して、来た道を引き返した。



そんなケイの態度が、少し癪に障るけれど、仕方なく後を付いていく。


ケイの高い背中を見ながら。



ほんと、中堀さんの知り合いって、、一筋縄じゃいかない人たちばっかり。



と、心の中で、あっかんべーをした。






「花音ちゃん、今回はチケット持ってるって聞いたけど、ステージで見る?」




歩きながら、ケイが訊ねるので、私はうーん、と考えた。




「どっちの方が良いですかね。」



「そーだね。人でごった返してるのが嫌だったら、ステージは止めたほうがいいかもしれないけど、こないだみたいに上から見てるのも味気ないでしょ?」




「そんなことないですけど…やっぱり人、多いですか?」




「そりゃーね。零のファンは多いし、零のオンステージっていうんだから、やっぱり多いよね。チケットも即完売だったし。」





迷う。



心穏やかに見たい気もするけど、ちゃんと間近で見たい気もする。



折角チケットもあるし。




「最初は下で、、疲れたら上、、でもいいですか?」





要は両方捨てがたいということだ。





「勿論。慣れるまではカウンターでお酒飲んでてもいいしさ。」





ケイは快く頷いた。