詐欺師の恋

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「あれ、花音ちゃん…まさか、泣いてた?」




ある程度涙が治まってから、スタッフルームを後にすると、途中の廊下でケイと出くわす。




「え、あ、いや、その、な、泣いてません…」




白々しいほどに、挙動不審な動きをしながら、私はそそくさとケイとさよならしようとするも。




「ちょっと。零となんかあったの?」



「!」



ケイは勿論お見通しで、壁を背にして、長い足を反対側の壁に伸ばすと、通せんぼした。




「いえ、あの、その…ちょっと、、色々ありましたけど、、多分もう大丈夫かと思います、はい…」




私も渋々降参して、顔を隠すために上げていた腕を下ろす。




「ふーん。なら、良いけど。零は仕事に手抜かないけど、一旦機嫌が悪くなると平気ですっぽかすから、危険なんだよ。」



メリッサも同じようなことを言っていたけど。


どれだけ信用を失ってるんだ、中堀さん。




「あの、それで、私、中堀さん、、見に行きたいんですけど…」



言いながら、人差し指でケイの足を指す。


そこ、通らせてくれませんかね、と。