詐欺師の恋

「…もう、いいよ。」




少しの沈黙の後で、中堀さんが溜め息と共に静かに呟いた。




そして、また出口に向かう。




「でも、一個だけ!!!」




往生際が悪いと思われてもいい。



私はそれでも貴方の背中に叫ぼう。





「一個だけ、言わせてくださいっ。これ、間違ってないと思うんです。」





出口の手前で、中堀さんはやっぱり振り向くことの無いまま、止まってくれている。





「あの、、、…あの写真の裏に書かれてた歌…実はもう一個、意味があるんです。私、高校の頃、調べたんです。あの歌、どうしても、、、そのままの意味じゃ、哀しすぎるから。」




多感な時期。



いつも色んな事を―今では思い出すこともできない程のことを―考えていた。




そんな時に学んだこの歌は、余りにも哀しすぎた。



何の色にも染まれないこの鳥が、仲間外れのように感じた。



ちっぽけで、頼りなく思えた。