詐欺師の恋


「!?」



奥の部屋に通じるドアのノブに手を掛けながらも躊躇っていると、突然ひとりでに開いたので私は息を呑んだ。




「…何してるの」




勿論自動、なわけはなく。



相変わらず不機嫌な顔をした中堀さんが、開いたドアの向こうから、私を見ている。




「えっと、、、あの…」



「悪いけど、俺急ぐから。」




突然の展開にあたふたしながら、しどろもどろになっていると、中堀さんがさっさと部屋から出て行こうとした。





―何か言わなきゃ、、何か…





「ごめんなさいっ!!!」





咄嗟に出た言葉は、謝罪だった。




私に背中を向けた中堀さんが、ピタリと止まる。




「その、あの、えっと、、勝手に、、、色々…気に障ることだったら、本当にごめんなさい…」




あぁ、いけない。



中堀さんの後ろ姿に向かって、頭を下げると、涙が零れそう。




まだ、駄目だ。



まだ、泣いちゃ、駄目だ。