詐欺師の恋

「夜中が良いんだって。」





回想していると、メリッサが口を軽く尖らせて拗ねたように呟いた。





「え?」





「真っ暗で月が光っててくれた方が、空は消えるから楽だろって。」





聞き返した私に、メリッサが付け加える。





「意味がわかんなかったけど、いつになく、饒舌だったわね。あの零が。酒でも飲ませた?」




ちらっとメリッサが私を見たので、勢い良く首を横に振った。





「ま、そうよね。零が酒に酔う所なんて見たこと無いもの。とにかくいい迷惑だったわ。」




「…すみません…」




私はなるべく肩を小さくさせながら、謝った。





「別にいいけど。thankyouは忘れないでよ?今日ちゃんと仲直りしてね。さ、着いたわよ。」





メリッサがそう言ったのと同時に、車が停止した。




しかし。





例の如く、メリッサは私をクラブの前で降ろそうとしたらしいが、既に並んでいる人が多すぎて、断念。




裏口から回ることになった。