詐欺師の恋



自分を嘲るような、笑い。




「これを、俺に見せて、どうしろと?」




「それはっ…」




振り返った中堀さんの瞳は、暗かった。




「知ってるよ、この歌。海の青にも、空の青にも染まれない、みじめで可哀想な鳥のことだろ?」




「違っ…」




首を振った時には遅かった。



ビリ、と千切る音が、部屋に響く。




「駄目っ」



慌てて止めようとするが、中堀さんは完全に真ん中から写真を切った。




「余計なこと、しないでくれる?」




中堀さんは、無表情にそう言うと、私の傍を通り過ぎて、部屋を出て行った。



ひら、ひら、と写真が床に舞い落ちる。



咄嗟にしゃがんで、それを拾うけれど。


さっきは嬉しかった玄関のガチャンという音が、今度は切ない。





「私の…馬鹿…」





明らかに、タイミングを間違った。



傷をえぐった。



伝えたいことが、言えなかった。



簡単に触れていいものじゃ、なかったのに。