詐欺師の恋


「!」



私の願いが通じたのか、家の前に車が停まった音がした。



帰って来た!



私は部屋から飛び出して玄関に向かう。




「うわ」



鍵を差し込まれる前に、勢い良く開けると、驚いた顔をした中堀さんが立っていた。




「お帰りなさい!」



本当だったら飛びつきたい所をなんとか堪えてそう言うと、中堀さんがふ、と笑う。



「ただいま。」




少し疲れた顔をしているけれど、熱は上がっていないようだ。




「遅くなってごめん。ちょっと打ち合わせが長引いて。」




「本当ですよ、私帰っちゃおうかと思いましたよ。」




私は金魚の糞のごとく、中堀さんの後ろを付いて歩く。




「でも、ちょっと私頑張ったんですよ!見て驚かないでくださいね、なんとハンバーグ…」




リビングに入った中堀さんが、目の前でピタリと立ち止まったので、私も後ろから笑いながら、彼の視線の先を見る。


何故って。


中堀さんが、ハンバーグを見ているんだと思ったから。





「あ…」




気付いた時には、もう遅い。




中堀さんの視線は、ローテーブルの上。




一枚の写真に、注がれていた。