詐欺師の恋



そうだ。



若山牧水の歌だ。






「そっか…」





私は一瞬閉じた目を、直ぐに開いた。



そうだった。


そういう意味だった。




だから、お父さんは、この歌をこの写真の裏に書いたんだ。



なんだ。



中堀さん、勘違いしてるだけじゃない。





自分じゃないみたい、だなんて。



自分は青く澄んでなんか居ない、なんて。






そんなこと、お父さんは一言も思ってなかったのに。





むしろ、中堀さんのことを、とっても大事にしていたのに。




だから、中堀さんの名前は、空生、なのに。






この名前だけは、貴方を苦しめるものなんかじゃなかったのに。