いつ見ても混雑しているイメージだったので覚悟していたが、意外に人は少なく、散歩している人やカップルがちらほらと居る程度だった。
その代わり、雀や鳩や烏(からす)は芝生の上に沢山居て、人がベンチからおこぼれを落としてくれるのをじっと待っている。
私は、ゆっくりとアスファルト部分を真っ直ぐ歩いていき、白い柵に手を着いて、目の前に広がる海を見た。
「わぁ…」
お世辞にも、綺麗とは言い難い、黒い海だったが、その中に白いカモメが群れを成して飛んでいた。
空は、青かった。
潮風が、肩に掛かる私の髪を悪戯に乱していく。
その風に抵抗しながら、ポケットからあの写真を取り出した。
―なんだっけ。思い出せそうな気がする。
写真の中に映る、空を見る少年。
裏に書かれた、言葉。
頭の片隅のどこかで、この短歌の意味を覚えている。
白鳥は
哀しからずや
空の青
うみのあをにも
染まずただよふ


