詐欺師の恋

外に出ると、この間まで元気だと思っていたハーブ達も、実はすっかりしょげていることに気付く。




「冬だもんね。」




こんなに寒いんだから、当たり前だ。



なんとなく物悲しい気分になりながら、当ても無く歩き出す。



坂道をテクテクと降りていくと、暫くは民家が立ち並んでいて、静かだった。



途中で犬に吠えられて、死ぬかと思うほど驚いた。首輪に繋がれていたから助かったけれど。




坂を完全に下ると、下町のお店が沢山並び、人で賑わっている。


そこから橋を渡れば交通量の激しい道路が出てきた。





そういえば。



このまま行けば、ここには海が見える公園がある。



テレビでも何度も見たことがあるが、実際には一度も行った事が無かった。




欲を言えば、中堀さんと一緒に行きたかったけど、彼は今体調を崩しているし、仕事人間だから仕方ない。




自然と足は、そっちの方角へと進んでいく。




途中で、輸入品が沢山置いてあるスーパーがあり、かなりの誘惑だったが、帰りに寄ればいいやと通り過ぎた。





後から考えてみれば結構な距離だったけれど、色々考え事をしていたせいか、比較的早く感じた。






「あ、かもめ…」




枯れた芝生と、寒々しい木々が見えてきたと思ったら、目的の公園だった。




潮の香りが、少し、した。