詐欺師の恋


かっこ悪い。



憲子ならこんなヘマはしない。



裕ちゃんに上手にご飯を作ってる。



現に憲子の手料理は美味しい。





「座ってて。俺、あとやるから。」



「そんな、中堀さんまだ具合が…」



「これ以上具合が悪くならないように言うこと聞いて。」



「・・・・・」




へこむ。



私は無言で俯き、よたよたとソファに座った。



傍にあったクッションをぎゅぅっと抱きしめてテレビを睨むと、悔し涙が滲んでくる。




私の背中側にあるキッチンからは、慣れているのだとはっきりわかるような包丁の音が聞こえてきて、益々視界がぼやけた。




中堀さんは、料理上手なんだもん。


ずるいな。



ふと、自問する。




私、中堀さんに良い所見せられてる?



中堀さんはなんでもできちゃうけど、私には何の取り柄も無い。



志織さんみたいに、美しくもないし、スタイルが良いわけでもない。




だけど。




私だって、何かしてあげたいって、思うのに。




一個だけでもいいから。