詐欺師の恋


「お、すごいね、冷蔵庫ん中いっぱいだね。」




「!!!」




いつの間に来ていたのか、中堀さんが私の後ろから冷蔵庫を覗き込む。





「び、びっくりさせないでくださいよ…」



「何作るの?」



「いいい今!それを考え中なんですっ」




いかん、動揺し過ぎて、呂律が回っていない。






「ふーん。じゃ、楽しみにしてるね?俺、シャワー浴びる。」




滞在期間二日目にして、既にパターン化している気がする中堀さんの朝シャン。



その後ろ姿が恨めしい。



いや、私だって、それなりに何かやろうと思えば出来る筈。



例えば、ほら、えっと朝ごはんなんだから。



そんなに凝ったものじゃなくて良いわけだし。



自分自身に暗示をかけていく。




一人暮らしを始めてから、料理は極力レンジのみだった。



野菜だって茹でたり蒸したりすればそれなりだったし、大体憲子と食べに行く事や彼氏に食事に連れてってもらうことばかりだったから、家に招いて手料理なんて、したことが無い。





「よぉっし」





私は奮い立たせるように声を出すと、腕まくりをした。