詐欺師の恋

長い睫毛を伏せて、穏やかな顔して眠る中堀さんは、熱が下がっているように見えた。



少しは、楽になったかな。



そんな想いを籠めて、そぉっと頬に触れる。


うん、熱はなさそうだ。



次は、額。



うん、大丈夫。完全に熱は下がっている。



次は鼻筋をちょっと。



そして今度は口―




「ちょっと」「きゃぁぁ」




と思って手を伸ばした所、その口が開いた。



驚いて引っ込めたものの、間に合わず、目の前の中堀さんに手首を掴まれる。






「お、お、起きてたんなら、言ってくださいよっ!!」




私がきぃっと睨むと、





「寝てたけど、あんたが顔いじくるから目、覚めた。」



いつも通り飄々と答えた。




「なっ、あれは、その、えっと…熱がないかなと思って…」




私もいつも通り嘘八百をつく。