詐欺師の恋

「…怪我、しなかった?」



ソファにふらりと座った中堀さんにコップを渡すと、上目遣いに心配された。




もうそれだけで、私の顔からは蒸気が出そう。




「大丈夫です!足にちょっとあたっただけですから!」



「ん。なら、良かった。」




なんなんだ、このキャラ。



中堀さんらしからぬ優しさ。




これならもう一回私が好きと伝えれば、上手く行くかもしれない!




自分の中で、妄想が暴走し始める。



けれど、中堀さんは水分補給すると、ふらふら~と上の部屋に帰っていこうとしたので、妄想を追い払って、付き添いをしてあげる。






眠るまでベット脇に居てあげようと思ったのに、気付けば意識はなく、中堀さんよりも絶対早くに眠ったに違いないと思う。





直前に考えていたせいか、珍しく夢を見て、その中にさっきの短歌が登場していた。






あの意味を、思い出せたなら。




中堀さんに、真っ先に伝えてあげようと思った。




だって、自分の名前が嫌いなんてことは、あっちゃいけないから。