詐欺師の恋

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October3



名前が決まった。


いつものようにジャングルジムに上って空を見るあの子に近づけば、予想通り、迷惑そうな顔をした。


それでも薄らとそう見えるだけで、感情を表わすことを上手く出来ないらしい。無表情に近い顔をしていた。


施設に来てからほとんど眠れて居ない為か、目の下には隈(くま)が出来ている。



母親のことはまだ伝えられて居なかったが、会いたいか訊いてみた所、返事がずっと返ってこなかった。


後から考えてみれば、失敗だった。そんなことを、あの子に訊くなんて。申し訳ないことをした。返答に窮するのも最もだ。



けれど、いつかは伝えなければならないことだけれど。あの事件のことは知らなくてもいいと思う。



名前を伝えても、アオの顔はやはり変化がない。我ながら自信があったのだが、気に入らなかったろうか。




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