詐欺師の恋

それ位、ぼんやりとした話し方だった。


それ位、目が虚ろだった。




熱が高くなってきているに違いない。





「きっと、今なら寝れますよ。とにかく休まないと。目を閉じてください」




布団を掛け直してあげながら、私は促した。





「…俺さ、自分の名前が、嫌いなんだ。」





それでもなお、彼は続ける。




脈絡のない話に思えた。





「どうして?良い名前なのに。」




訊けば、




「自分じゃない気がして。」





と答えた。



眠れないと言いつつも、身体のだるさには逆らえないのか、中堀さんは目を瞑る。






「青く、澄んでなんか、いないから。」






ゆっくりと、でもはっきりと、中堀さんはそう言った。






「なかぼりさ……」




言いかけた所で、中堀さんから規則正しい寝息が聞こえ、思いっきり脱力した。


眠れるじゃん!



自分の心の中で毒吐いた。