詐欺師の恋

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「入りますよー」



中堀さんを寝室に連れて行ってから、氷枕や薬や清涼飲料水等を取りに下に戻り、再び寝室に戻る。



勿論返事らしきものはないので、待たずして開ける。



中堀さんはさっきと同じ体制で、ベットにきちんと横になっていた。



けれど、目はしっかりと開いていて、天井らへんに視線が注がれている。





「少し、眠ったらどうですか。寝ないと、治りませんよ。」




諸々を載せてきたお盆を、背の低い棚に置くと、私は氷枕を持った。




中堀さんが身体を起こしてくれたので、私はその下に氷枕を滑り込ませた。





「寝るの、苦手なんだ」




もう一度横になると、中堀さんがぽつりと呟いた。




「なんですか、それ。羨ましいですね。私だったら、ずっと寝てて良いなら永遠に寝てます。」




ベットの脇に浅く腰掛けて言えば、中堀さんが声を立てずに笑う。




「俺は、あんたが羨ましいよ。」




「…なんで、眠れないんですか?」




「わかんねー。昔から。」




中堀さんの頬が火照っている。



自分の紡いでいる言葉を、熱が下がった時に果たして覚えているだろうか。