詐欺師の恋



確かに数十分前の私なら間違いなくそう言っていただろう。




「身体の方が心配なんです!」




誤魔化してるなと感じつつ、事実でもあったが、鍵について拗ねてみたかったとも思う。




「あ、そう。」



当然、中堀さんの絡みは少ない。





「あそうって、、、まぁいいですけど。どちらへ行かれてたんですか?病院ですか?」





少しの嫌味をブレンドして訊ねると、中堀さんは上に羽織っていた黒のコートを脱いだので、私はそれを受け取ってあげた。







「車、取りに行ってきた」




中堀さんはそれだけ言うと、ぐったりとソファに座り込み、頭を抱えた。





「ちょっと、、大丈夫ですか?!」





コートを抱えつつ、中堀さんの頬に手を当てると、熱がまた上がっている。




「もう!だから駄目だって言うのに!ベットでちゃんと寝てください!」




「・・・うるさい、ここで良い。俺、どうせそんなに眠れないし。」




良いわけないだろー!



「ほら!ちゃんと氷枕も買ってきましたし!二階に行きましょう。」





ゆさゆさと肩を揺らして促すと、中堀さんははぁ、と一息吐いて顔を上げた。





「・・・わかった。」




本当は嫌なのだ、という意思表示だけはしっかりと顔に出ていた。