詐欺師の恋


今から、20年以上も前だ。





それが、遺品の中から出てきたということは。




これは―




中堀さんの、養父の手帳。




ガチャ





「!」




その時、玄関で物音がして、慌ててそれを閉じてダンボールに仕舞う。



瞬間、ひらりと挟まっていた紙が落ちた。




―まずい。



反射的にそう感じ、すぐにパッと拾ってポケットに入れると、何事もなかったかのようにダンボールから離れ、ソファに座った。




同時に、ドアが開く。





「お、おかえりなさい。」




「あ、帰ってたんだ。」






薄らと鼻の頭を赤くさせた中堀さんが、にやりと笑ってそう言うので、動揺がバレないように、頬を膨らませて見せた。



いつもとは別の意味で、心臓が五月蝿い。




「全く、こんな寒い中、何処いってたんですか?熱出してるのに!」




そんな私の反応に、中堀さんはあれ、という顔をする。




「そこなんだ?てっきり、さっき渡した鍵はこういう意味だったんですね!とか言われると思ってた。」




え。



「あんな喜んでたのに」



なんて、鋭いんだ、中堀空生。



あんたって男は。