「俺は、あんたを利用してるんだよ。」
中堀さんはそう言うと、腕を解いて、私との間に距離を空けた。
伏し目がちに、罰の悪そうな顔をしている中堀さん。
「―いいですよ。」
その姿を見ながら、私は笑っていた。
「―え?」
中堀さんが、驚いたように顔を上げる。
あぁもう。
どうして、この人はこんなに愛しいんだろう。
「利用してくれて、構いません。この家にひとりで居たくないなら、私が傍に居ます。」
容姿端麗で、何でも出来て、文句の付け所がない中堀さん。
女の人の扱いも慣れていて、いかにも遊んでる。
より取り見取りの詐欺師。
だけど本当は―。
「でも、私だけにしてくださいね。」
不器用で。
人をちゃんと愛しているのに、気付かない人。
他の人を傷つけて、自分が一番傷つく人。
時々、少年の様な弱さを見せる。
その相手が、私なら。
こんなに嬉しいことはない。


