詐欺師の恋


「コンビニ行ってきたんです。これ、飲んでください。あとこれからお粥も―」




中堀さんに渡そうと、そばに寄ったその時。




ゴト…




私の手から、ペットボトルが床に落ちて転がる。






「な、かぼり…さん?」





何故か、一瞬の内に、私は中堀さんの腕の中に居た。




苦しい位、きつく、抱き締められている。





「ど…した…」




訊きかけて、気付く。




少しだけ、震えている中堀さんの身体。





「もう少しだけ、、、このままで…」





掠れた声が、耳元に落とされて。





私は小さく頷くと、下がっていた自分の手を、中堀さんの背中にそっと回した。





早鐘のような鼓動は、今回は私のものだけじゃ、ない。