詐欺師の恋

腕にしたままの時計を見ると、もうすぐ7時になろうとしている。





「…全然看病してないし…」




折角持ってきたお泊りセットも最早無駄になったとしか思えない。




濡らしたタオルを中堀さんの額にそっとのっけると、冷たさのせいか、顔がしかめられる。



それでも起きる気配はない。




「…シャワー借りて、お粥でも作るか。」





いそいそと玄関に置きっぱなしだった私の鞄を取りに行き、大急ぎでシャワーを浴びて身支度を済ませると、キッチンに戻ってきて米びつはないかと探した。





暫くパカパカと色んな戸棚を探してみたものの。





「ない。」




なぜ。




無意味に包丁を持ちながら、愕然とした。




やっぱり生活感のない家。



すごく素敵な家なのにな。



温かみのあるデザインなのに。





どうして、ここはこんなに寂しく映るんだろう。




がっくりと項垂れてから、私はコンビニに買出しに行こうと決めた。