火が出ろ、火が出ろ、火が出ろ。
 何度も何度も火が出ろと念じていると、魔法の杖の先から僅かに火が現れ、少女は感動のあまりマタナイに向けた。
「あ、熱!オイラじゃなくって土台につけないか」
「あ、ゴメンなさい」
 こうして何とか鍋に火を付けることに成功した少女。
 それから二人は鍋が沸騰するまで、しばし座って待つことにした。
「猫ちゃん先生、私、魔法が使えたよ〜」
「はいはい」
「もう〜。ちょっとは褒めてよ」
「だってそれ魔女の世界だと、幼稚園児が使う程度の代物だぜ」
「・・・・・」
「魔女たちの幼稚園児ならその倍は軽くやるし」
「・・・・・」
「ま、まあ人間にしてはよくやった方だ」