「…まぁ、上がれよ」
「い、いや。あの…」
「いいから、上がれって」
「…わっ!」
腕を引っ張られ、
呆気なく中へ入ってしまった。
「お前、その様子じゃ俺の家に住むってこと知らない感じだな」
「し、知らないよ!お母さんが勝手に行き先決めちゃって。お母さんの親友の子供っていうから、てっきり女性かと…」
「俺はてっきり、お前が頼んだと思ってた。…つーか、表札見てねぇの?」
「…見てない」
「ははっ。お前って、そういうとこ変わってねぇんだな」
…あっ。
紘くんが笑った顔、久々に見た。
紘くんは、
親しい人じゃないと、
話してくれないし、
笑顔も見せてくれない。
だから、
あたしは紘くんと話せるのも、
笑ってくれるのも、
特別な気がして嬉しい。
…い、いや!
別に好きとか、そういう感情ではなく。
素直に嬉しいだけであって…
「…で、でもいいの?」
「何が?」
「あたしなんかがここに居させてもらって…」
「あぁ。つーか、お前以外の女だったら絶対入れさせねぇよ」
「…えっ?」
そ、それは…
ど、どういう意味なの…⁉︎

