社長の挨拶も終わり、皆はそれぞれの担当へ動き出す。
「それじゃあ、行こうか」
「うん」
架純に言われて、あたしたちもデザート企画部に向かった。
デザート企画部は主にスイーツを扱うレストランのメニューを考えたり、オリジナルのスイーツを作ったりと女性に人気だ。
予想通り、女性社員が多かった。
新入社員は一人ずつ自己紹介をして、今は昼食の時間。
…って、お弁当持ってくるの忘れちゃったよ。
今朝、寝坊して急いでたから作る暇もなかった…
架純の方を見ると、男性に囲まれていた。
美人だし、良い子だからモテるよね。
すると、架純はあたしの方へ寄って来た。
「瑠奈!一緒にご飯食べようよ!」
「ごめん、あたし今日お弁当持ってくるの忘れちゃって…」
「まじ⁉︎大丈夫?」
「うん。近くのお店で食べてくるね。誘ってくれてありがとう」
「そっかぁ、残念」
「それにしても、架純はモテるね」
「うーん。でも、あたしは社長にしか興味ないから」
「そ、そっか…」
なんか、ちょっと怖い…
架純以外にも社長を狙っている女性はたくさんいるよね。
それなのに、一筋でいく架純はやっぱりすごい…!
「じゃあ、また後でね!」
「うん」
そう言って、あたしたちは別れた。
あたしは、会社付近を歩いた。
お洒落なお店がたくさん建ち並んでいる。
…あっ。
あたしが目に付いたのは、
うどん屋さん。
女性があまり行くような所ではないけど、庶民的なお店の方が落ち着く。
あたしは、迷わずうどん屋さんに入った。