「…きゃー!かっこいい!!」



すると、架純も叫び出した。
視線の先を辿ると、男性が舞台に立っていた。
確かに、素敵な人だ。




「…あの人は?」



「えっ⁉︎知らないの⁉︎雨宮 理人さん。この会社の社長だよ!」



「…しゃ社長⁉︎」



…初めて見たかも。
顔立ちは良くて、背もスラッとしていて、女性からの人気は高そうだ。




「噂で聞いたんだけど、社長は今フリーらしいの」



「…へぇ」



意外だなぁ。
彼女とか居そうなのに。




「それにあたし、社長のこと狙ってるから」



「…えぇ⁉︎狙ってるって…⁉︎」



「だって、雨宮社長完璧じゃない⁉︎絶対社長の彼女になってみせる…!」



…すごいなぁ、架純。
尊敬しちゃう。
あたしにはそんな根性ないよ…



「瑠奈は、あたしのこと応援してくれる…?」



「…えっ⁉︎う、うん」



「ありがとう!瑠奈と友達になれて良かったぁ!」



…頑張ってね、架純。
でも、あたしに出来ることなんてあるのかな…?




「…でも、社長は主にメイン企画部に居るから会える確率は低いんだよね…」



「大丈夫だよ。社長だからデザート企画部にも、きっと来てくれるよ」



「…そうだよね!うん、頑張る!!」



架純はたくましく見えた。
あたしも頑張らなきゃ!
…でも、何を頑張るんだろう?
あたしは…
そう、仕事!
あたしにはそれしかない!

…あっ。
…紘くんに返事しなきゃだよね。
…でも、今はまだ答えは出せないよ。
ごめんね、紘くん…