「え。」
婚約者として…………じゃなくて?
えっと………ん…?
ええ?!
「好きです。」
まっすぐな瞳は、私の瞳の奥を見つめる。
「…えっと……私も……好きだよ?………幼なじみとしては………。」
私の言葉の途中から、玲央の表情は笑みを見せた。
「恋人としてって意味だったら?」
「私……、好きとか良く分かんなくて……」
「そっか…………。」
少しだけ、しょんぼりしたように見えた。
「お母さんが……婚約者がいるのに、人を好きになっちゃいけないって…………。」
「え………?」
「好意を持っちゃいけないって……。」
婚約者がいるのに、彼氏を作って欲しくなかったのかなって今なら思えるけど………
「困ってたら相談ぐらい、してくれよ?」
「……うん!」
映画のワンシーンみたいな夕日が沈んでいくのを2人で眺めていた。