特別なお客さん。〜あなたとの距離〜

「…私、嬉しかった。そんなに前から…ずっと…。
もっと早く大原くんのこと、気付いてたらな、って思った。

こんなにバイト入るようになったのは4回生になって内定もらってからだし、それまでは大学の授業やサークルでそんなにバイトに入ってなかったから、大原くんが沢山買いに来てくれてる、って気付いたのは最近で…。」

恥ずかしそうに下を向く大原くんに向けて言う。

まさか、"店員と客"からこうして
"彼女と彼氏"になれるなんて思ってもいなかったから。

「…大原くん、ありがとう。」

「……。」

そう言うと、やっと顔を上げて、前を見ながら話し始めた。

「初めは…笑顔が素敵な店員さんだな〜って。たまにパン屋に行くといてて、その笑顔が良いな、って思ったら気になっていったんだよね。

でも、俺、どうしたらいいのかわからないからとりあえずパン屋に通うことしかできなくて。

声かけることもできないし、もう諦めようかな、と思ってたら俺のこと覚えてるようなことしてくるんだもん。諦めれなくなっちゃったからね。」

私に片想いしてくれてたんだな、って。

大原くんの口から聞けてより嬉しかった。