特別なお客さん。〜あなたとの距離〜

その日のバイトはなんだか集中できなかった。

閉店まであと少しになり、片付けつつ、レジをしているときだった。

「宮下さん。」

レジに現れたのは、大原くんと同じバイトの玉川さん。

「あ、いらっしゃいませ。」

「これ、お会計お願いします。」

「かしこまりました。」

大原くんと玉川さんは仲が良さそうだからきっと聞いてるよね、私達が付き合い始めたこと。

1人でパンを買いに来た玉川さん。
大原くんはまだバイトしてるのかな…。

「大原はまだバイトですよ。」

「あ…そう…ですか。」

私が考えてることを見抜かれているのか、何も言ってないのに気になっていることを言われた。

「あいつ、珍しくミスしたんですよ。」

「え…?ミスを…?」

「4年近くバイトしてて、ミスなんてしてるところ見たことなかったのに。なんだか、集中できてないっていうか。」

そう話しながらもニヤニヤする玉川さん。