「何がいいかわかんなかったけど、取りあえず寒いから暖かいのにした。」

そう言って、さっき私の頬に押し当てられた缶を渡される。


「え、これ…」

「俺から、差し入れ?みたいな?」

「あ、ありがと…。あったかい…。」

手先が冷えてたからちょうど良い温かさ。

一緒にベンチに座った。
私は缶を触ってばかりで、大原くんから笑われてしまったけど。


”王子”


その言葉がぱっと出てきた。


「そうだ、大原くんってさ、この近くの高校生の間で人気みたいだよ?」

「え、何それ。」

缶コーヒーを飲みながらこっちを見る大原くん。


「なんかね、colorにイケメン店員がいる…って。うちの店の高校生が言ってた。学校でそんな話題になるって。」

「それ、俺?他の人ではなく?」

と不思議そうな感じ。