大阪女子高生事情!


異性が苦手とか、怖いとか、そんなこと言ってられへん!

わたしは彼に
「どうしたらいいですか? 大丈夫ですか?」
と声をかけた。

多分、声は震えていた。
異性への恐怖、人が倒れているという恐怖、いろんなものがごちゃ混ぜになっていた。


「肩、貸してくれませんか……トイレ、行きたいんです……」


トイレ。


ぽかん、としたのも無理はない。
保健室からトイレまでは50mはある。
握りしめられた上靴のカラーから同級生だとわかる彼を支えて、トイレまで。
多分、厳しい。
彼の体は震えていたし、自立できないから倒れているのだ。
やせ形、推定54キロあるかないか。
わたしは力があるとはいえない……。
しかも、彼はとてもつらそうだし、動かしていい状態なのかもわからない。


ぐるぐるといろんなことが回った。


もし頑張ってトイレまで連れていけたとしても、中で倒れたら?
動かして彼の状態をさらに悪化させてしまったら?
彼がここで吐いたり失禁してしまう可能性だって、ないとはいえない。
でも、彼を殺してしまったら、なんて悪い想像が脳内をばーっとよぎった。

怖くて、わたしまで足が震える。

「肩、貸してくれませんか」
彼が繰り返した。わたしは泣きそうだった。
しゃがみこんで、彼のそばによった。