彼は時々びくびくと痙攣を繰り返しながら、
固く目をつむり、
手には上靴を握りしめていた。
「あ、あのっ」
声をかけることに勇気を振り絞った。
何をかくそうわたしはコミュニケーションが苦手だ。
集団行動も得意だけど嫌い。
だから学校があまり好きじゃない、というのもあるのだ……。
そう、つまり、いくら倒れている相手でも、見知らぬ異性に話しかけるのは怖かった。
彼は苦しそうな顔で、それでもわたしを確認すると、かすれた声を出した。
わたしのちっぽけな勇気なんかよりももっと力を振り絞った声。
「すみません……助けて、くれませんか」
