ーー人が、倒れてる。
馴染みぶかい保健室のドアから2mほどの地点で、男の子が倒れていた。
「えっ」
これ、なに? ドッキリ?
そう思った。
びっくりしすぎて足がすくむわたしの目の前で、彼は痙攣している。
待て。落ち着こう。
睡眠時間が足りなさすぎて夢でも見ているのかもしれない。
……それは、ないな!
彼はもがいている。
しかしわたしもどうすればいいかはわからなかった。
何しろ17年平和に生きてきて、人が倒れている場面になんて遭遇したことはなかったからだ。
保健体育の授業で倒れている人を助ける方法は習ったけれど、あれは主に意識不明の場合だ。
倒れて、もがいている人の救助方法なんてしらない!
どうすればいいんやろうか……!
慌てながらも、彼から顔をあげたところで気が付いた。
馴染みぶかい保健室へ続く茶色のドア。
養護教諭の若狭先生が!そこに!!
