――芹沢くんは、あたしのことが好きなのだろうか?

そう思ったのと同時に、あたしの隣を歩いている芹沢くんに視線を向けた。

きて欲しいのかきて欲しくなかったのか、そんな複雑な気持ちで迎えた放課後。

あたしは今朝交わした約束の通り、芹沢くんと一緒に彼の家へ向かっていた。

自分の心臓が、ドクドクと嫌な音を立てているのがわかった。

そのうえ吐き気もしてきて…お昼に食べた、つぐみ姉ちゃん手作りのお弁当を今にも吐き出してしまいそうだ。

「大丈夫か?」

芹沢くんの声に視線を向けると、彼はあたしの顔を覗き込んでいた。

「えっ…?」

聞き返したあたしに、
「さっきから、顔色悪くないか?

体調悪いんだったら無理しない方が…」

「いいの!

平気だから!」

心配そうな顔の芹沢くんをさえぎるように、あたしは首を横に振った。