あたしは芹沢くんに歩み寄ると、
「芹沢くん」

声をかけた。

芹沢くんはあたしに視線を向けると、
「行くぞ」

一言そう言った後、あたしに背中を向けた。

芹沢くんが歩き出したのと同時に、あたしも彼を追いかけた。

えっと…どうすればいいんだろう?

芹沢くんの広い背中に、あたしは戸惑うことしかできなかった。

そもそもこれって…少女マンガでよく見かける“デート”だよね?

んっ?

…違うか。

“デート”ってつきあってからの男女がするものだよね。

少女マンガでもつきあってからデートって言う風に順序が描かれているんだし。