玄関のチャイムがなる。



「はーい。」


私は扉を開けて、確認する。


「おはよ。彩芽。・・・にしても寒すぎだろ・・・。」

ハルヒは、大きいくしゃみをして言った。


私たちは、中学生になった。


もう4月だけれど、まだまだ雪は解け残っている。


小学生に比べて、ハルヒは身長がかなり伸びた。


少し前までは、私と同じ身長だったのに・・・今となっては、10センチは違うと思う。


「ね、ハルヒ。身長伸びたね」


「ん?おう。当たり前だろ。今は165センチくらいだな。まだまだ伸びてるぜ。
そういう彩芽は全然伸びてねーな」


ハルヒは急に私の頭をくしゃくしゃと撫でてきた。


「うるさいな、巨人め!」


私もハルヒの頭をくしゃくしゃに撫でようと思ったけど、背が届かない・・・。


10センチ差なんてもんじゃなかった。



「届かないのか?こ・び・と!」


「うるさいってばあああああ」


私はハルヒのすねを蹴ると、自転車の後ろにのった。


「今日もお願いしますよ。ハルヒタクシー」


「毎回ずるいよなお前・・・」


腑に落ちない顔をしながらも、自転車のペダルを強く踏み込み、加速していく。


この時間が、私の一番好きな時間だった。