好きだから

 「この病気は千人に1人の割合でなるもので、進行はゆっくりなんだ。でも雛ちゃんの場合は少し見つかるのが遅くてね…。」

確かに、最近薄暗いところでものが見えなかったり、周りがぼやけてたりしたけれどただの視力低下だろうな、としか考えていなかったし……。

一応視力検査をしようとお母さんに言われたから来ただけなのにー…


お母さんは泣きながら
「治療法とか…あるんですよねっ?!」
と聞いた。

でも先生は首を横に振った。

「治療法は今のところ見つかっていません。なので最悪の場合に備えて点字などの勉強をしたほ…」

「て…点字ですって…?
雛は…っ雛はちゃんと見えてます!!!
ほら…ねっ?雛?お母さんの事見えるよね?」

私はなにもできなかった。頷くことも。
先生の言葉を理解するのに精一杯だった。