彼に返答をした後、後ろからガチャリと鍵が開く音が聞こえた。
私は振り返り、また少年の方を向くと少年は自分の人差し指で「静かに」という合図をしてから窓を閉めるように言った。
私は言われた通り窓を閉めて、急いでベッドに戻る。
ギリギリドアが開く前にベッドの中に滑り込み布団にもぐる。
「美琴さん、お加減はどうですか?」
昼間に会った女の人が私に微笑みかけてきた。私はコクンと首を縦に振ると、女性は了解したように「うんうん」とうなずいた。
・・・と、女性の後ろに誰かもう一人立っている。
「こんにちは、美琴さん」
白衣にポロカラーシャツを着た男の人は、私を見下ろして挨拶をした。私は頭を下げ、一礼する。
「初めましてだね。私は、君の担当医だ。これから、よろしく頼むよ」
「よろしくお願いします」
「若いのに、礼儀正しいね。関心関心」
「いえ、そんなことは・・・」
少ししどろもどろになりながら、私は先生の話を聞いた。
先生は、私の容態を確かめた後でそばに置いてある椅子に腰を掛け私と同じ目線で語り始めた。
「さて、君が連れてこられた理由を話さなければならないね」
「はい」
「君の容態は、少々厄介な記憶障害なんだよ。そして、ここには君以外にもいっぱい患者さんがいるのだけれど色々と複雑な事情を持つ人ばかりなんだ」
先ほど少年が教えてくれた通りのことを、先生は私に説明した。
「君は、自分がなぜここにいるかを知りたいかね?」
「もちろん」
「そうか。だけどね、私はそれを教えることはできないんだよ」
済まないといった表情で、先生は謝罪した。
私は、なぜできないのかと先生に問うてみると
「人には、思い出さなければよかったと思うことの一つや二つ持ち合わせてるものだからね。私がおいそれと話すのは、少し気が引ける。医者としては、まだまだ未熟な発言だけれどね。君の精神状態のために、もう少しだけ延期しておこうと思ってるのだけれどいいかね?」
「それって、私にとって辛いことなんですか?」
「ああ、おそらくな」
ギュッと布団を掴んだ。
なんだか、少しだけ怖くなってきて私はうつむいていると先生は慰めるように私の肩をポンッと叩いた。
「何、心配はいらないさ。君の病気が治ったらすぐに楽になってスッキリする。それまでの辛抱と思えばいい」
「・・・はい」
「それじゃ、私はここでお暇させてもらう。いい夢を」
先生は女性をひきつれて私の部屋から出て、鍵を閉めた。
女性はトレーを持っていったらしく、机には何もなくなっていた。
「あ、あの人は・・・」
私は窓の前に立ち、先ほどの少年はどうなったか気になり覗いてみる。
だけど、先ほど覗いていた窓に少年の姿も部屋に光もなかった。
「寝ちゃったのかな?」
どうやら、少年は早く寝るのが生活の基本ならしい。
私は、諦めて窓を閉めてオレンジ色のカーテンを閉めその日はまた眠りについた。
私は振り返り、また少年の方を向くと少年は自分の人差し指で「静かに」という合図をしてから窓を閉めるように言った。
私は言われた通り窓を閉めて、急いでベッドに戻る。
ギリギリドアが開く前にベッドの中に滑り込み布団にもぐる。
「美琴さん、お加減はどうですか?」
昼間に会った女の人が私に微笑みかけてきた。私はコクンと首を縦に振ると、女性は了解したように「うんうん」とうなずいた。
・・・と、女性の後ろに誰かもう一人立っている。
「こんにちは、美琴さん」
白衣にポロカラーシャツを着た男の人は、私を見下ろして挨拶をした。私は頭を下げ、一礼する。
「初めましてだね。私は、君の担当医だ。これから、よろしく頼むよ」
「よろしくお願いします」
「若いのに、礼儀正しいね。関心関心」
「いえ、そんなことは・・・」
少ししどろもどろになりながら、私は先生の話を聞いた。
先生は、私の容態を確かめた後でそばに置いてある椅子に腰を掛け私と同じ目線で語り始めた。
「さて、君が連れてこられた理由を話さなければならないね」
「はい」
「君の容態は、少々厄介な記憶障害なんだよ。そして、ここには君以外にもいっぱい患者さんがいるのだけれど色々と複雑な事情を持つ人ばかりなんだ」
先ほど少年が教えてくれた通りのことを、先生は私に説明した。
「君は、自分がなぜここにいるかを知りたいかね?」
「もちろん」
「そうか。だけどね、私はそれを教えることはできないんだよ」
済まないといった表情で、先生は謝罪した。
私は、なぜできないのかと先生に問うてみると
「人には、思い出さなければよかったと思うことの一つや二つ持ち合わせてるものだからね。私がおいそれと話すのは、少し気が引ける。医者としては、まだまだ未熟な発言だけれどね。君の精神状態のために、もう少しだけ延期しておこうと思ってるのだけれどいいかね?」
「それって、私にとって辛いことなんですか?」
「ああ、おそらくな」
ギュッと布団を掴んだ。
なんだか、少しだけ怖くなってきて私はうつむいていると先生は慰めるように私の肩をポンッと叩いた。
「何、心配はいらないさ。君の病気が治ったらすぐに楽になってスッキリする。それまでの辛抱と思えばいい」
「・・・はい」
「それじゃ、私はここでお暇させてもらう。いい夢を」
先生は女性をひきつれて私の部屋から出て、鍵を閉めた。
女性はトレーを持っていったらしく、机には何もなくなっていた。
「あ、あの人は・・・」
私は窓の前に立ち、先ほどの少年はどうなったか気になり覗いてみる。
だけど、先ほど覗いていた窓に少年の姿も部屋に光もなかった。
「寝ちゃったのかな?」
どうやら、少年は早く寝るのが生活の基本ならしい。
私は、諦めて窓を閉めてオレンジ色のカーテンを閉めその日はまた眠りについた。
