涙でぬれた顔を上げてみる。
鉄格子のその奥に、また一つ白い壁が見えその側面に一つ窓が設置してある。
その窓から、ビー玉のように澄んだ瞳をもったくせのある黒髪をなびかせた少年が私をじーっと見つめていた。
「!?」
泣いているところを見られた。
同じ17歳くらいの男子に、泣いている顔を見られるなんて恥ずかしい。
急いで顔を勢いよくこすると目のあたりがヒリヒリした。
「ねえ、大丈夫?何かあったの?」
それでも、少年は人懐っこい表情で私に質問を投げかけた。
さすがに、これ以上無視するのは申し訳ないので私は質問に答えた。
「だ、大丈夫!!ちょっと、目に何か入って痛かっただけだから」
「そっか。よかった」
「うん・・・!!」
少年と私の距離はお互い手を伸ばしても二倍くらいの距離がある。
地面には、雑草が生い茂り少しだけ荒れているようだ。
少しして、目の腫れが治まって改めて少年を見ると目が合いニコッと微笑みかけられた。
それに、ドキッと胸が高鳴った。
「どうしたの?」
「な、なんでもないです」
「そう。ならいいけど。にしても、君は見ない顔だね。新人さん?」
「はい、そうです」
風が吹き、夕暮れの空は次第に暗くなっていく。
鉄格子に阻まれて、私は少年の顔をよくは見えなかったが少年は少し苦笑いをしているようだった。
「あの、ここは病院ですよね?」
「うん、ある意味でね」
「ある意味とは?」
「ここに来る患者って、人には言えない事情がある患者なんだよ。君は、どうやら外にも出してもらえないみたいだね」
少年の言葉が、よく理解できなかった。
人には言えない事情を持った患者が集まる病院。じゃあ、私はなんでここに?
「貴方も、人には言えない事情があってここに?」
「もちろん」
「それって、なんですか?」
「それは言えないな。僕とか、他の患者さんのほとんどは自分たちのことを話さないんだ。君だって、自分の秘密は人にいいたくないでしょ?」
当たりまえと言いたげな表情で私に言う。
「そう、ですね」
煮え切らない肯定に少年は微笑みを返した。
鉄格子のその奥に、また一つ白い壁が見えその側面に一つ窓が設置してある。
その窓から、ビー玉のように澄んだ瞳をもったくせのある黒髪をなびかせた少年が私をじーっと見つめていた。
「!?」
泣いているところを見られた。
同じ17歳くらいの男子に、泣いている顔を見られるなんて恥ずかしい。
急いで顔を勢いよくこすると目のあたりがヒリヒリした。
「ねえ、大丈夫?何かあったの?」
それでも、少年は人懐っこい表情で私に質問を投げかけた。
さすがに、これ以上無視するのは申し訳ないので私は質問に答えた。
「だ、大丈夫!!ちょっと、目に何か入って痛かっただけだから」
「そっか。よかった」
「うん・・・!!」
少年と私の距離はお互い手を伸ばしても二倍くらいの距離がある。
地面には、雑草が生い茂り少しだけ荒れているようだ。
少しして、目の腫れが治まって改めて少年を見ると目が合いニコッと微笑みかけられた。
それに、ドキッと胸が高鳴った。
「どうしたの?」
「な、なんでもないです」
「そう。ならいいけど。にしても、君は見ない顔だね。新人さん?」
「はい、そうです」
風が吹き、夕暮れの空は次第に暗くなっていく。
鉄格子に阻まれて、私は少年の顔をよくは見えなかったが少年は少し苦笑いをしているようだった。
「あの、ここは病院ですよね?」
「うん、ある意味でね」
「ある意味とは?」
「ここに来る患者って、人には言えない事情がある患者なんだよ。君は、どうやら外にも出してもらえないみたいだね」
少年の言葉が、よく理解できなかった。
人には言えない事情を持った患者が集まる病院。じゃあ、私はなんでここに?
「貴方も、人には言えない事情があってここに?」
「もちろん」
「それって、なんですか?」
「それは言えないな。僕とか、他の患者さんのほとんどは自分たちのことを話さないんだ。君だって、自分の秘密は人にいいたくないでしょ?」
当たりまえと言いたげな表情で私に言う。
「そう、ですね」
煮え切らない肯定に少年は微笑みを返した。
